映画『レミゼラブル』の日本語吹き替え版は存在するのか調べてみた

ミュージカル映画の代表作とも言える『レミゼラブル』。ふと、吹き替え版はあるのかが気になりました。もし吹き替え版があるとすれば、誰が吹き替えてるの?と。

今回は、映画『レミゼラブル』を日本語で見ることができるかを調べてみました。

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映画『レミゼラブル』の日本語吹き替え版はあるの?

結論から言いますと、日本語吹き替え版はありません

映画『レミゼラブル』って、ほぼ歌です。 約30曲が歌われています。そして、この映画は、全ての歌を俳優がセリフのように歌っています。通常ミュージカル映画は、レコーディングした歌を演技に合わせて編集するのですが、この映画の凄いところは、俳優たちがカメラの前で演技しながら歌っているところです。

それなのに、あの歌唱力。全俳優が美しい歌声を披露しています。素晴らしいですね。それを日本語に吹き替えてしまったら…。残念なことになるでしょうね。

実際、英語がほとんど聞き取れない私でも、十分伝わってきました。もちろん字幕は読むのですが、それよりも各俳優の歌声と表情に魅せられて釘付けになるという感じでしたよ。

これってもしかしたら年齢の影響もあるのかもしれません。私は昔々若い頃に、ロンドンでミュージカル『レミゼラブル』を見たことがあるんです。その時は、正直なところ、「他にも有名なミュージカルがたくさんある中で、なぜこれを選んでしまったのだ…」と後悔したものです。

一緒に行った友人なんて爆睡でしたもん。もちろん字幕がないので、何を言ってるのかも分からなかったし。でも、この映画は、同じく何を言ってるか分からなくても感動したんです。

映画を見た感想・口コミ

では、皆さんがどう思われているのか、コメントを拾っていきたいと思います。

  • 吹き替えじゃ、あのキャスティングの意味がない。あのまま聞かないと!
  • ストーリーの展開の速さは気になるところだけど、この映画はミュージカル。歌を楽しむことが最も大切。映画の一つの醍醐味を満喫した。
  • 下手に吹き替えをすると、この映画の営業妨害になりそう。
  • こんなに感動した映画は初めて。歌に心動かされました。5回は泣きました。また見たい。
  • この映画の一番は、歌唱力の高さ。それを吹き替えるのは無理。

やはり、この映画を称賛する人は、あの歌唱力に魅せられた人ばかりです。逆に歌ってばかりが苦手な人は、ちょっとしんどいかもしれません。

もちろん、同じ映画の中でも好きな曲、嫌いな曲、感動する曲、退屈に感じる曲など感じ方はその時々です。これは仕方ないと思います。

映画『レミゼラブル』の字幕翻訳は?

では、映画の日本語字幕を担当した石田泰子さんについて紹介したいと思います。


(引用:TBSラジオ

石田泰子さんは、日本の翻訳家で、今までに数多くの英語の字幕翻訳をされています。例えば、『マンマミーア』『カンフーパンダ』『ズートピア』など。(すいません、数ある中から私の勝手な好みでピックアップしました)

石田さんの経歴

石田さんの経歴を少しご紹介すると、石田さんは英語が好きで、映画も好きだったので、映画翻訳家になりたいと思われたそうです。

しかし、映画翻訳家を目指そうと思った頃は、まだ映画翻訳家という職業がメジャーではなく、どうすれば翻訳家になれるのか調べる手立てもない頃でした。インターネットも普及していませんしね。

そこで、映画の配給会社に手紙を書き、どうすればなれるのか聞かれたそうです。配給会社は返事をくれたのですが、そこには「そんな道はない」と書かれていました。

ただ、いずれにしても翻訳には日本語が大事なので、日本語を勉強するように、とアドバイスがあったそうです。その後、たまたま見つけたチラシで吹き替え翻訳を教えてくれる専門学校に1年通われました。

そこで、教わりいまだに座右の銘にされているのが、

映画の翻訳は言葉を訳すのではない。セリフの心を訳すものだ

という言葉だそうです。とても共感され、今でも大切にされている言葉です。

石田さんのデビューのきっかけは、専門学校時代のクラスメイトが就職したプロダクションでビデオの字幕翻訳の仕事があり、声をかけてもらいました。

ビデオデッキって懐かしいですね。ビデオテープの扱いに失敗すると、黒い薄いテープがビヨーンって出てきて、必死で鉛筆でクルクルと直したものです。

話はそれましたが、少し下積みをされて、1986年『不滅のデューク』でデビューされました。その後1996年『トレインスポッティング』が大ヒット映画となり、その字幕翻訳をされたことで有名になりました。

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字幕翻訳の難しさ

字幕翻訳は、書き言葉、読み言葉であると同時に「話し言葉」です。話し言葉は時代とともに変わっていきます。毎年流行語大賞が生まれるくらいですから。しかもノミネートされるだけで30語もあるんですよ。

何気なく使っている言葉や口調、語尾も気付けば時代とともに変わっているんですね。確かに女性だからって「〜ですわ」とかほとんど使いませんよね。(私だけかな…)いまや「ヤバイ」はプラスの表現担ってたり。

そして、字幕は原作の3分の1のほどしか入りません。文字数が限られた中で、意味が通じるだけでなく、伝わる必要があり、物語を左右させる影響力があります。

石田さんは、映画を見終えた後に「あれ、字幕あったっけ?」と思うようなさりげなさが良い字幕だとおっしゃっています。確かに私が、レミゼラブルを見終えた後、そういう感覚になりました。

『レミゼラブル』の字幕翻訳には二人の名前が

映画『レミゼラブル』は、歌が占める割合がとても多いです。そして、その歌の和訳はほとんどが岩谷時子さんです。岩谷さんは作詞もされていて、ザ・ピーナッツ、加山雄三、郷ひろみ、越路吹雪の楽曲や校歌や市民音頭まで幅広く活躍されました。

そんな岩谷さんでも、『レミゼラブル』の訳詞にはとても苦労されました。なぜなら、英語と日本語の大きな違いや、作曲家のクロード=ミッシェル・シェーンベルグから、一つの音符に一語しか入れてはいけないと言われていたからです。

英語の情報量の3分の1で訳し、かつ一音につき一語。楽譜は350ページに及んだと言います。そこで岩谷さんは、英語を忠実に訳すのではなく、作詞をされたのです。もちろん物語は変えず、でも日本語のセリフに書き換えました。

字幕翻訳をされた石田さんは、翻訳される際に岩谷さんの訳詞を大変参考にされました。とても理にかなった方法だと思いますし、ミュージカル『レミゼラブル』が好きな方からすればとても親近感の湧く字幕にな理ました。

囚人番号は?

映画では、ジャンバルジャンの囚人番号は24601ですが、ミュージカルでは24653です。これは、英語では「ツーフォーシックスオーワン」と言うところ、日本語では最後の「オーワン」は「ゼロイチ」になってしまい、どうしても語呂が合わなかったので、「ゴーサン」に変更されました。

日本オリジナル囚人番号ですね。ちなみに、それを揶揄する24653Tシャツが日本でだけ販売されたことがあるんですよ。

まとめ

  • 映画『レミゼラブル』には日本語吹き替え版は無い
  • 字幕翻訳は石田泰子さん
  • 石田さんが参考にされたのは作詞家の岩谷時子さん

普段何気なく見ている字幕ですが、実は奥が深かったんですね。これからも字幕中心に映画を見ることは無いですが、ちょっと頭の片隅に置きながら見てみると、また違った楽しみ方ができそうです。

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