レミゼことレ・ミゼラブルと言えばこの曲「民衆の歌」ですよね。テレビCMにも使われるテーマ曲になっています。民衆の歌を聞くと、何だか勇気が湧いてくる気がするのは私だけではないはず。その名の通り、民衆が奮い立つ様が歌われています。
今回は、民衆の歌の和訳と、歌詞の意味を解説していきます。また、色んなバージョンの民衆の歌も聞いていただけますよ。
「民衆の歌」歌詞の解説
民衆が戦いの時に歌う曲です。戦いの相手は、政府軍です。1832年のパリではルイ・フィリップ政権となっていましたが、変わらず労働者は厳しい生活を強いられていました。そこで立ち上がったのが学生運動のグループ「ABCの友」です。(ABCの友については、また別の機会にご紹介します)
ABCの友のリーダーである、アンジョラス。アンジョラスはついに、政府軍と戦うことを決意します。そこに、マリウスも加わり、パリの街にバリケードを築きます。マリウスは、コゼットの恋人ですね。
マリウスは、当初、戦いに加わろうか悩みました。それはなぜか。コゼットとの恋を優先するためです。でも、最後には戦いに参加することにしました。こちらの関連記事で詳しく説明していますので、合わせてお読みくださいね。
ABCの友がバリケードを築き、戦いを始めると、貧しい民衆も加わりました。バリケード内で、自分たちを鼓舞するように歌われたのが、この曲「民衆の歌」です。
歌のタイトルは、そのまんまですね。英語だと「Do You Hear the People Sing?」。日本語では、当初「民衆の歌が聞こえるか?」と訳されました。現在でも使われているタイトル名ですが、今では「民衆の歌」の方がメジャーですね。
英語バージョン
日本のミュージカルで歌われている歌詞と、英語を訳した時に、少し違いがあるので、英語を素直に訳した歌詞も載せておきます。
民衆の歌が聞こえるか?
怒りの民衆の歌が
これは、もう二度と奴隷にならない民衆の歌である
胸の鼓動がドラムを叩く音と共鳴する時
明日になれば新たな生活が始まる
我々の革命に加わらないか
次は誰が強くなり私と共に立ち上がるのか(共に立ち上がろう!)
バリケードの向こうにこそ
君たちの待ちわびていた世界があるのだ
さぁ共に戦え
自由の権利を得るために!
あなたが与えることができるものを全て与えてくれないだろうか
我々の旗が前進するために
倒れる者も生き延びる者もいるだろう
立ち上がってチャンスをつかもう
殉教者の血が
フランスの地を赤く潤すことになるだろう
「二度と奴隷に戻らない者の歌」というところが、英語版では印象が深いです。本当に辛い日々から自由を手に入れるために立ち上がろう、という意志を感じます。
戦いのための歌なのですが、その前段階の、民衆は怒っているんだ、いつまでも奴隷じゃないんだ、という決意を政府軍に聞かせるための歌なのではないかと思います。
この戦いは、結局政府軍の圧勝に終わり、アンジョラスをはじめ、幾多の民衆が命を落とします。幼い子供ガウローシュまでもが銃弾の前に倒れます。自由な日々が手に入ることなく、物語は進行していくんですね。
エンディングで流れる「民衆の歌」
そして、この曲は、エンディングのシーンにも出てきます。ジャンバルジャンの最期。ファンティーヌが天国から迎えに来ます。そして、最後には、バリケードの上で一緒に民衆の歌を、晴々とした表情で歌い上げます。(動画では、2:00から流れます)
未来への希望を感じるシーンによって、物語はエンディングを迎えます。「あゝ無情」に光が見えた瞬間ですね。ファンティーヌの美しい笑顔もとても印象的です。
歌い継がれる「民衆の歌」
一度聞くと、必ず口ずさんでしまうこの曲は、様々なシーンで歌われています。
横浜F・マリノス
サッカーJリーグの横浜F・マリノスでは、2013シーズンから、ホームゲームでは、この民衆の歌がBGMとして流れます。サポーターと共に歌い、試合前に選手を鼓舞し、勝利へ後押ししています。
世界17か国のジャンバルジャンが歌う「民衆の歌」
世界中で上演されているレ・ミゼラブル。世界17か国のジャンバルジャンが一同に集まり、民衆の歌を歌いました。レ・ミゼラブル10周年を記念したコンサートが1995年10月8日にロンドンで開催されました。
もちろん日本からもジャンバルジャンが参加しています!鹿賀丈史さんです。堂々と歌っている鹿賀さんが頼もしい。そして、やはり若い。もう約25年前ですからね。各国のジャンバルジャンが各国の言葉で歌っているところがとても良いと思いました。
香港での民衆の歌
2019年8月に反政府デモに参加するメンバーが香港国際空港を占拠し、民衆の歌を歌いました。香港では、2014年の大規模デモ、雨傘運動でもこの曲が歌われました。
[LIVE] First day of the 3-day sit-in rally at Hong Kong International Airport. #HongKong protestors are singing the protest anthem “Do you hear the people sing?” from Les Misérables. #FreedomHK #antiELAB #StandwithHK #HongKongProtest pic.twitter.com/e0LUZyedBo
— Freedom HK (@FreedomHKG) August 9, 2019
コロナウイルス#Stay home
まずロンドンで、「Stay safe」の動きがありました。
日本でも。
ミュージカル「レミゼラブル」に出演の俳優さんや、クリスタルケイさん、城田優さん、平原綾香さんなど豪華な顔ぶれです。
まとめ
はじめに曲だけを聞いた時に、勇気が出るハツラツとしたイメージを持ちましたが、民衆が蜂起したときの曲だったのですね。戦いでは敗北しますが、大きな目で見ると、この戦いが自由を勝ち取るための一歩だったのではないでしょうか。