ジャニーズ事務所で数々の作品に出演してきた、大人気の2人が対立し合うミステリー・サスペンス。
2人の初共演により注目を浴びたのと同時に、話題作を多数手掛ける原田眞人監督がこちらも話題作を手がける雫井脩介のミステリーを映画化したとしても話題に。
元SMAP木村拓哉と元嵐の二宮和也という2つ国民的アイドルグループの2人が描く現状の司法制度、時効についてを深く考えさせられる物語です。
題名の通り、「検察側の罪人」がテーマとなっており、正義を問う検察も感情を出すことで罪人となり得るという深く考えさせられるものです。
映画「検察側の罪人」の作品概要
2018年8月24日に公開された同映画はトップアイドルの初共演ということもあり、公開前より話題となっていました。
公開日 | 2018年8月24日 |
上映時間 | 123分 |
原作 | 雫井脩介 |
監督・脚本 | 原田眞人 |
キャスト | 木村拓哉 |
二宮和也 | |
吉高由里子 | |
松重豊 | |
山崎努 | |
制作 | 東宝 ジェイストーム |
配給 | 東宝 |
制作プロダクション | 東宝映画 |
さまざまなVODや映画の評価を含め8割の人が高評価をしています。
おすすめ度は★★★★☆
映画「検察側の罪人」のあらすじ
東京地検刑事部、エリート検事の最上演じる木村拓哉が二宮和也演じる学生の頃から最上を師と仰ぐ沖野の2人が正義とは何かを問う物語。
東京で来た事件の容疑者が、かつて最上の学生時代に起きた事件との関連性がある人間だったことから物語は急展開を迎えます。
正義を問う検察官である沖野が師と慕う人と正義の狭間で揺れるという内容。
【ネタバレあり】映画「検察側の罪人」のあらすじ
物語は、最上演じる木村拓哉が検事として勉強中の生徒である沖野演じる二宮和也を指導しているところから始まります。
その後4年後に物語は移り、沖野が最上の元で検事として働き始めます。
東京で老夫婦の刺殺事件が起き、その容疑者として浮上したのがかつて最上の友人で合った女子中学生殺人事件の容疑者と同一人物でした。
その事件の検事を沖野と立ち会い事務官の橘演じる吉高由里子が務め、捜査を続けていく中で不可解なことが。
容疑者の松倉は少年時代に起こした事件と23年前の時効になった事件については認めるものの、老夫婦殺害については否認し続けました。
沖野は老夫婦刺殺事件の犯人は松倉ではないと感じますが、それに反して最上はどうしても松倉に執念があるように感じていたのです。
師と仰いでいる最上に対しても、そのうち不可解だと思い始めます。
橘は最上が松倉に対して何か思い入れがないかと探り始めます。
橘は学生時代暴露本を執筆した過去があり、立ち会い事務官になった後も検事内部情報を本にするために録音して暴露本を書こうとしていました。
そのうち最上の学生時代に起きた女子中学生殺害事件の被害者と最上が友人関係で合ったことを沖野と橘は知り、特別な思い入れがあることを知ります。
捜査方針により松倉が老夫婦の事件に関与していないと判明し、同時に新たな容疑者として弓岡という男に焦点が当てられます。
時効を迎えた女子中学生殺害事件で松倉を罰することはできないため、なんとしてでも老夫婦殺害事件の容疑者として松倉を逮捕したい最上。
ですが警察の捜査は本格的に弓岡を容疑者として逮捕する方針に。
弓岡の逮捕前日、弓岡は最上によって山中に拉致されます。
諏訪部という闇ブローカーに協力してもらい銃を手に入れた最上は弓岡を殺害。
何事もなかったかのように翌日の捜査会議に参加して、この事件への関係性を疑われるも否認します。
一瞬疑われるたものの焦点を橘に向けて、橘が内部の情報を漏らそうとしていることをバラしたことにより橘は東京地検を去ることとなります。
沖野は最上に対して、松倉は犯人ではないと訴えるも最上には響きません。
沖野は納得がいかず、最上に対しても不信感が募り東京地検をやめ橘と恋仲となります。
その後松倉が冤罪になることを防ぐため、沖野が法律事務所に相談し、松倉の国選弁護士とタッグを組み松倉の無罪を勝ち取ります。
無罪を勝ち取った松倉は無罪になったことを祝う式典に参加しますがそこで沖野が協力したことを知り、恐怖心と怒りを覚えた松倉はその場から逃走。
松倉を追いかける沖野の目の前で松倉は車に轢かれて死亡します。
そこには諏訪部の仲間であり協力者の女が、事故を装い他人に協力させ松倉を轢き殺していた事実がありました。
その後沖野は最上の別荘に呼ばれ会いに行きます。
そこで最上に対して一連の騒動に関与していることを問いただすも、最上は認めようとしなかったのです。
最上に対して沖野は「あなたは罪人です」とした言葉を送るも物語はそこで終了します。
映画【検察側の罪人】の主題や伝えたいこと
検察側の罪人では、検察のような正義を日頃から問う人間でも一歩間違えると罪人となり得ること。
またいけないことに目を瞑ってやり過ごすことは絶対しないという意思表示が強く感じられます。
正義と悪を両極端に置くことで、実は2つは両極端ではなく常に隣り合わせということを伝えた作品だともいえます。
また時効になった事件を物語の中心に置くことで、たくさんの人に時効や現行の法律について考えるべきだと訴えているようにも感じる作品でしょう。
映画【検察側の罪人】の考察と解説
映画「検察側の罪人」の考察と解説①:運び屋の女性の声
諏訪部の手下として銃を準備もして、また物語の最後に松倉が轢き殺される場面に登場した、芦名星演じる謎の女がいました。
彼女はボイスチェンジャーのような機会で、機械的な声を発していました。
喉に手術痕のようなものがあったので、訳ありなのは確かでしょう。
最後に松倉を轢き殺したときにも登場したので、松倉殺害を依頼したのは最上ではないかという見方が観た人の感想でしょう。
映画「検察側の罪人」の考察と解説②:最上にとっての結末とは?
松倉も死亡したため、最上にとっては終幕を迎えたように見えました。
しかし最上にはまだやり残したことがあったのではないでしょうか。
自殺した友人の丹野に託された資料を元に戦うことを決めていたように感じた人もいるはずです。
作品中に何度も出てくるおじいさんの戦争の話も繋がっていて、あの別荘にあった御宿タナンで戦いの傷を癒やし、再度戦いに望むという意味もあったのでしょう。
そのため丹野の証拠を使い、新たな戦いに向けて歩み出すというストーリーが先にはあったのかもしれませんね。
映画「検察側の罪人」の考察と解説③:最上の友人は依頼人
最上と同じように、女子中学校殺人事件について犯人を恨んでいる人物はいました。
最上の同級生が作品中、丹野の他に2人出てきますがもしかすると殺人を依頼したのは最上ではなく友人2名のどちらかの可能性もあります。
友人の1人の前川は23年前の事件についてまだまだ気にしているようでしたし、重要参考人だった松倉のことも知っていました。
もしかすると殺された女子中学生殺人事件の犯人を誰よりも恨んでいて殺害を依頼したということもありそうです。
映画「検察側の罪人」の考察と解説④:松倉はなぜ殺された?
時効になった23年前の事件について犯行を認めたものの時効を迎えていたため罪に問えない現実に納得のいかなかった人はいるでしょう。
特に最上は、なんとしてでも松倉に罪を償わせたかった一人でしょう。
ですが時効を迎えたため罪に問われなかったのでやるせない想いと腹立たしい想いから誰かが殺害を依頼したのでしょう。
学生時代の罪については償ったようですが、女子中学生の殺害事件に関しては罪にも問われず、反省の色もないようでした。
あの様な姿を見てしまうと、女子中学生の身近な人物であれば憎いと思ってしまうのは当然のことでしょう。
映画「検察側の罪人」の考察と解説⑤:最後に松倉の命を奪った犯人はだれ?
松倉を轢き殺した男性は、アクセルとブレーキを踏み間違えたといっていました。
その側には諏訪部の部下である謎の女が。
轢き殺した男性も諏訪部に依頼された人物で、情状酌量を狙ってあたかもたまたま殺してしまったように振る舞っていました。
ですがなぜあの場に松倉がくることがわかっていたのかも不思議です。
依頼したのは最上だったのか、または最上に対して協力をしていた諏訪部の判断だったのか、またはその他の人なのか真実はわかりません。
少なくとも目の当たりにしていた沖野は最上が関与していると思っていたでしょう。
映画「検察側の罪人」の考察と解説⑥:結末・ラストとは?
物語の最後は、最上の別荘に沖野が訪れます。沖野は弓岡や松倉を殺したのは最上であり、罪を認めるよう促していました。
それでも認める様子のない最上に苛立ちと、師と慕っていた最上の行動にやるせない気持ちが相まっていたようでした。
丹野が最上に託した証拠などについての結末は描かれていなかったので気になった方も多いと思います。
ですが物語の本質はきっと現行の法律や、正義とは何かを問う内容だったといえるでしょう。
映画「検察側の罪人」の評判・評価
映画「検察側の罪人」はつまらない?
低評価をしている人たちの意見として多いのは内容が難しいという意見。
または原作とのギャップに衝撃を受けた人がいる印象です。
この作品に関しては事実がはっきりと述べられているというよりかは予測する場面が多いといえるでしょう。
結論をはっきりと述べて欲しい人にとっては難しい内容となっているかもしれませんね。
また先に原作を読んでいる人にとっては、原田監督の世界観も含まれたためギャップとして感じてしまったのかもしれません。
映画「検察側の罪人」は面白い
全体の評価として8割の人が高評価をしています。
内容よりも出演者の2人よって見ようと思った方もいたと思いますが、それだけではなく色々考えさせられる内容だったため高評価だったのではないでしょうか。
最上演じる木村拓哉さんの悪役というのもなかなかにですよね。
そのような点も人を惹きつける要因になったのではないでしょうか。
また演技派が勢揃いだったため、演技力に定評のある映画になったことは間違いないといえます。
まとめ:映画『検察側の罪人』は正義とは何かを問う物語
『検察側の罪人』を一言で表すと「正義とは何か」ではないでしょうか。
正義を追い求めてきた最上でさえも個人的感情が入ることによって、正義とは何かわからなくなりました。
沖野にとっても師と仰ぐ最上が感情によって許されないことをしているところを見て見ぬふりはできないという正義を貫くかどうかの狭間で揺れていることも印象的です。
正義と罪は隣り合わせにあることを題名からも伝えたかったことではないでしょうか。